
無料レポート「業界未経験者のための小さな不動産屋さん独立成功読本」のご請求は今すぐコチラから
今回は8種制限(宅建業者が自ら売主となり、宅建業者でない者との間で売買契約を締結する場合に宅建業者でない者を保護するための制限)のうちの他人物売買の制限について解説します。
そもそも他人物売買って何?
他人物売買とは他人の権利を売買の目的とすることを言います。
たとえば、売主Aさんと買主Bさんの間でCさんの持っている甲不動産の売買契約を締結するようなことですね。
この場合、売主であるAさんは、その権利をCさんから取得して買主Bさんに移転する義務を負います。(民法560条)
まずは他人物売買が民法上、認められているものであることをおさえて下さい。
宅建業法の8種制限では原則、他人物売買は禁止
しかし、宅建業法上、宅建業者を売主、宅建業者でない者を買主とする取引形態においては、他人物売買が原則、禁止されています。
このような契約を締結しても買主に所有権の移転ができない可能性が高いからです。
考えてもみて下さい。
上の例で言えば、売主Aさんが事後的にCさんのところに行って「あなたの持っている甲不動産をBさんに売ることになったから売ってくれ」と申し入れたところで、Cさんが「いいですよ。」と言ってくれることはまずないですよね。
だから、宅建業法上、宅建業者を売主、宅建業者でない者を買主とする取引形態においては、原則として、他人物売買が禁止されているわけです。
例外的に他人物売買が認められる場合
他人物売買が禁止されている理由が「買主に所有権の移転ができない可能性が高いから」だとしたら、確実に買主に所有権の移転ができるような事情があれば、他人物売買を認めても問題ないですよね。
そこで宅建業法では確実に買主に所有権の移転ができる事情があると認められる次のような場合には例外的に他人物売買契約を締結することを認めています。
①宅地建物取引業者が他人物売買契約の目的である宅地又は建物を取得する契約を現在の所有者との間で既に締結しているとき等
既に宅地又は建物を取得する契約を締結しているのであれば、ほぼ確実に買主に所有権移転できるはずですよね。
だから、他人物売買を認めてもいいだろうということです。
なお、ここでいう現在の所有者との間の契約には予約は含みますが、停止条件付契約は含みせん。
なぜなら、予約契約を締結していれば、予約完結権を行使するだけで、所有権が移転するので、売主である宅建業者はほぼ確実に所有権を取得することができますが、停止条件付契約を締結しているに過ぎない場合、売主である宅建業者が条件の成就を100%コントロールできるわけではないので、所有権を取得できるかどうかが、わからないからです。
②未完成物件の売買に該当する場合で当該売買に関して手付金等保全措置が講じられているとき
まず、なぜ、他人物売買の話をしていて突然、未完成物件の話が出てきたのかわからないと思いますので、その点を先に説明しますね。
未完成物件については完成に近い状態になるまで所有権というものを考えることができません。
たとえば建築工事がはじまったばかりの建物は、材木等の資材については所有権というものを考えることができますが、建物自体については、まだ所有権というものを考えることができないということです。
そのため、売主である宅建業者にとって「自己の所有に属しない宅地又は建物」ということになり、他人物売買の制限の対象とされている(他人物売買が原則、禁止されている)わけです。
では、この点を踏まえて、いよいよ本題です。
手付金等保全措置が講じられていれば、万が一、所有権移転ができないことになっても、手付金は保全されており、買主に大きな損害が生じる心配はありませんよね。
だから、売買契約を締結することを認めているわけです。
まとめ
・民法上は他人物売買契約を自由に締結することができる。
・宅建業法の8種制限(宅建業者が自ら売主となり、宅建業者でない者との間で売買契約を締結する場合に宅建業者でない者を保護するための制限)では原則、他人物売買契約を締結することが禁止されている。
・宅建業法の8種制限の適用がある場合であっても
①宅地建物取引業者が他人物売買契約の目的である宅地又は建物を取得する契約を現在の所有者との間で既に締結しているとき等
②未完成物件の売買に該当する場合で当該売買に関して手付金等保全措置が講じられているとき
は、他人物売買契約を締結することが認められている。
無料レポート「業界未経験者のための小さな不動産屋さん独立成功読本」のご請求は今すぐコチラから