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今回は8種制限の一つである手付の額の制限等について解説していきます。
手付とは何か?
手付とは売買契約の締結に際して売買代金の一部に充当することを目的として買主から売主に対して交付される金銭のことを言います。
たとえば、売買代金3000万円の不動産の売買契約において、契約締結時に買主から売主に対して手付金300万円が交付された場合、買主は決済時において残代金2700万円を支払えば、よいことになります。
手付の額の制限
宅地建物取引業者が売主、宅地建物取引業者以外の者が買主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、売主である宅地建物取引業者は代金の額の10分の2をこえる額の手付を受領することができないとされています。
たとえば売買代金が1000万円の場合、売主である宅地建物取引業者が受領することができる手付の額は200万円までになるということです。
これに反する特約は、代金の額の10分の2をこえる部分について、無効とします。(一部無効規定)
先の例で言うと手付の金額を300万円と定めた場合、代金の額の10分の2をこえる部分、すなわち100万円については当然に無効となり、手付の金額は自動的に200万円に引き下げられるということです。
手付の性質の制限
宅地建物取引業者が売主、宅地建物取引業者以外の者が買主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して売主である宅地建物取引業者が手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、売主である宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができます。
先の例で言うと
買主から解除する場合には、既に売主に交付している手付金200万円を放棄して
売主から解除する場合には、買主から預かっている手付金200万円に自腹で200万円を上乗せした400万円を買主に償還して
それぞれ契約を解除することができるということです。(手付解除)
この規定については注意するべき部分が2つあります。
一つ目は「その手付がいかなる性質のものであっても」という部分です。
民法上の手付には
証約手付(契約が成立したことを証するために交付される手付金)
違約手付(違約罰として交付される手付金)
解約手付(解除権を留保するために交付される手付金)
の3つの性質のものがあるとされています。
しかし、宅建業法上、宅地建物取引業者が売主、宅地建物取引業者以外の者が買主となる宅地又は建物の売買契約を締結するに際して交付される手付に関しては、当事者が手付を証約手付や違約手付にするつもりで交付していたとしても必ず解約手付としての性質を合わせ持つことになるということです。
2つ目は「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは」という部分です。
当事者の一方というのは「契約の相手方」のことを言うものと解されています。
つまり、「契約の相手方」がいったん、契約の履行に着手すると、こちら側から手付解除はできなくなってしまうということですね。
これは契約の相手方が履行行為に着手した後でも手付解除ができることにしてしまうと相手方の履行行為がムダになってしまうからですね。
なお、手付解除ができなくなるのは、あくまで契約の相手方が履行に着手した場合です。
こちら側が履行に着手していたとしても、相手方が履行に着手していなければ、問題なく手付解除できることに注意して下さい。
この規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とされます。
たとえば
「買主はその手付を放棄して、売主である宅地建物取引業者はその手付を償還して、契約の解除をすることができる」といった特約は無効とされ
「買主はその手付を放棄して、売主である宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる」という規定に戻るということです。
逆にこの規定に反する特約でも買主に有利なものなら、有効とされます。
たとえば宅地建物取引業者側が手付解除を行う場合には3倍返しが必要となるといった特約などは有効になるということです。
まとめ
・宅地建物取引業者が売主、宅地建物取引業者以外の者が買主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、売主である宅地建物取引業者は代金の額の10分の2をこえる額の手付を受領することができない
・宅地建物取引業者が売主、宅地建物取引業者以外の者が買主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して売主である宅地建物取引業者が手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、当事者の一方(契約の相手方)が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、売主である宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
この規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効となる。
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